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ニューヨーク不動産仲介のトップチーム
今回は、私が長年ニューヨークの不動産に携わってきた経験から、今後15年間で「ニューヨークの不動産がどういう方向に向かっていくのか?」をお話しします。
海外渡航禁止などの制限がかかる中、新型コロナウイルスは、アメリカ不動産マーケットにも大きな影を落としました。約2年間の自粛期間を経て、今年2022年は、多くの海外投資家がアメリカの不動産市場に戻るのではないかと期待されています。
ここでは、より高いリターンを得るための、アフターコロナを見据えたニューヨーク不動産投資戦略として、次に挙げる9項目のストラテジーをご提案します。
まず1つ目のストラテジーとして、「成長エリアに投資する」ということをご提案します。
次の図がニューヨーク市です。それぞれのエリアを色分けしていますが、赤がマンハッタンで、皆さんもご存知のセントラルパークやタイムズスクエア、ウォールストリートなどがあるエリアです。
以前は、都市の中心といえばこのマンハッタンだけでしたが、近年では、ブルックリンや、今急成長しているブロンクスなど、人気のエリアが拡大しています。
ニューヨークは、アメリカ国内の主要都市のように車社会ではなく、「電車社会」である点が特徴の一つです。マンハッタン島はとても狭いエリアで、山手線の内側と同じぐらいの大きさです。電車沿いに街が広がっていく形ですから、電車沿いに不動産価格を追っていくと、次にどのエリアが伸びていくのかがわかります。
その地域が発達していくにつれ、生活インフラが整い、家賃がマンハッタンに追いついていくわけです。そのようなエリアに投資することによって、マーケット全体の伸びよりも早い成長速度で、平均よりも高いリターンを得ることが可能になります。
では、マンハッタン以外にはどういうところが成長エリアかと言うと、まずはブルックリンが挙げられます。図の緑で示したエリアですが、さらに次のように分かれます。
ダンボは、先の地図のマンハッタンから下に降りてすぐという立地で、ニューヨークの中でも成長著しいエリアです。おしゃれで人気があり、セレブリティが好んで住むエリアとして知られています。
パークスロープは、ダンボのすぐ側のエリアです。ブラウンストーンと呼ばれる4,5階建てのレンガ造りのタウンハウスが建ち並んでいるところです。
レッドフックという、ウォールストリートの対岸のエリアの開発も進んでいます。
ブルックリンハイツは、レッドフックよりもマンハッタン寄りのエリアです。外側からマンハッタンのダイナミックビューが一望できるエリアで人気があります。
以上がブルックリンで投資する際におすすめのエリアです。
次におすすめのエリアは、先程の図の青で示したクイーンズです。中でも、ロングアイランドシティーは急激に開発が進んでいます。
ウォータービューエリアは人気が高いため、水辺の開発というのはどこも上手くいっています。最近では、飲食店やスーパーマーケットなどの生活インフラも整い始め、急速に伸びているエリアです。
続いておすすめするエリアは、図の黄色で示したブロンクスです。中でも、サウスブロンクスの開発が進んでいます。昔は、ハーレムよりも治安が悪いイメージがありましたが、最近ではウォーターフロントに高層の高級住宅が建ち始めています。
高層タワーですが、マンハッタンと比べると、賃料はかなり安く抑えられています。今後、レストランなど街の開発が更に進むと、賃料も高くなっていくと予想されます。
2つ目のストラテジーとして取り上げるのは、「マンハッタンのトップ投資オプション」です。
まずはじめに、「セントラルパーク付近のコンドミニアムをディスカウント価格で購入する」ということをご提案します。
皇居の約2.5倍ほどの広さがあるセントラルパークは、ニューヨークの最も象徴的な場所として知られています。この付近に住むということが、ウォータービューに住むよりも何よりのステータスとして挙げられます。
元々、この周辺の住宅街はものすごく高額で、コロナ以前は海外の超富裕層が購入していましたが、コロナ禍で購買が進んでいないことで、値段は下がっています。もし今、日本の投資家や富裕層の方で、このエリアの住宅を希望される場合には、ディスカウント価格で購入できますので、ご紹介したいエリアです。
例えば、「トランプ・インターナショナル」です。
セントラルパークの角のこのビルは、上半分がレジデンス・コンドミニアム、下半分がホテルになっています。実は、このビルは日本人に結構購入されています。なぜ人気があるかというと、年に数回しか滞在しない持ち主が泊っていない時は、ホテルのマネジメントがホテルゲストに貸し出すというスキームになっているからです。
今は、ホテルが稼働していないので、パフォーマンスは下がっています。昨年は、ホテルの経費がかさみ、コロナ以前と比較して25~30%ほど下落していたため、安く購入できました。今もその安値は続いていて、リーズナブルに購入できます。
こちらのユニットは、64平米、1ベッドルームの間取りで$748,000 (約8,000万円)です。1階にはミシュラン二つ星のフレンチが入っていて、ルームダイニングも可能です。このような豪華なホテルが1億円以下で購入できるのは、かなり割安感があると言えるでしょう。
こちらは、「パークハイアット・レジデンス・ONE 57」です。これも今は下がっているので、買いのチャンスと言えます。上の階からはセントラルパークが見下ろせるという、見事なビューが自慢のビルです。ニューヨークの57丁目に位置し、「ビリオネア・クラブ」と呼ばれ、総資産額が1千億円以上の著名なビリオネアが居住しています。こちらは、100平米弱の間取りで1ベッドルーム、$3,595,000 (約4億円)となっています。
ニューヨークの物件は内装が魅力的です。日本の投資家の中にも、日本と比べてゴージャスな作りに驚く方が多くいらっしゃいます。オープンキッチン・ウォークインクローゼット、その他にも、プール・ラウンジ・レストランが付いています。
コロナは人類に多大なダメージを与えましたが、同時に新しいトレンドを生んでいると言えます。それは、不動産投資に対してもチャンスをもたらしています。ここから先は、特にアフターコロナの不動産戦略としておすすめの項目をご紹介しましょう。3番目のストラテジーは、「商業不動産のシェアスペース」をご提案します。
ニューヨークは家賃が高い割に部屋が狭いため、コロナ禍でリモートワークには向かないと、人々は郊外に流出してしまい、その結果、ニューヨークの家賃は下がり、流出先のフロリダや郊外の不動産の方が高くなるという逆転現象が起こりました。一時期は、コンドミニアムでさえ20%下がりました。空室率も上昇し、マンハッタンのコロナ以前の空室率は2%前後でしたが、13~14%という数字が出ています。
これまでニューヨークに住みたくても住めなかった若い層が、コロナ禍で家賃が下がったことで全米から集まり、ニューヨークの街が若返っています。そうしたミレニアム世代、40歳前後の人達は、「所有する」のではなく、「シェアをする」という価値観を持っています。今後はその「シェア」がさらに進むのではないかと言われています。
シェアオフィス、3Dプリンターを置いたデザイン・シェアオフィス、ゴーストキッチンを借りてデリバリービジネスをする、といったシェアスペースの需要が増大します。この先15年ほどは、このようなシェアエコノミーを活かした不動産投資をすることで、高いリターンを得ることができるでしょう。
4番目にご提案するストラテジーは、「日本のテクノロジー・デザインを取り入れた不動産」です。ニューヨーカーはものすごくデザインに敏感で、良いデザインに対して高い家賃を払います。日本の住まいには良いところがたくさんあります。
写真のように、和と洋を合わせたような和モダンの日本のデザインを取り入れて、プレミアム感をもたせたり、狭いスペースを有効活用する収納システム・さまざまな日本のテクノロジー・シャワートイレなどを取り入れたりすることによって、不動産は伸びていくのではないかと予想します。ニューヨークであれば、だいたい15%~20%ほどマーケットよりも高い家賃を払うでしょう。
5番目のストラテジーは、「マイクロアパートメント」です。日本や香港では当たり前ですが、狭いスペースをより効率的に使うためにコンパクトにした居住空間のことです。この小さいサイズのワンルームは、最近ではニューヨークでもトレンドになってきています。
ニューヨークでは、2015年までは、40平米以下のアパートには規制がかかっていました。しかし、都会の人口が急増する中、それに対応するために法律を撤廃し、2016年からは、30平米ほどのマイクロアパートメントの建築が許可されるようになりました。試験的に導入したものでしたが、結果的に成功したため、今ではこのマイクロアパートメントの第二世代が建ち始めています。
現状、このマイクロアパートメントは数が少なく、平米に対しての家賃が高く取れます。場合によっては、平米に対する家賃が50%ほど取れますし、何より、ニューヨークでは大きく差別化を図ることができるので、注目されています。 今後15~20年はニューヨークの人口は増加し、ますます都市化が予想されますので、この「マイクロアパートメント」はおすすめです。
6番目にご提案するのは、「エナジー効率の良い住まい」です。バイデン大統領は、地球温暖化問題に向き合い、エコハウスを推奨していますので、今後は助成金なども期待されます。
テスラが開発したこちらのソーラーパネルは屋根と一体型になっているため、見た目にもスマートです。地熱を取り入れた住宅も増加しています。
今後、購買層となる20代後半から40代のミレニアム世代は、環境へ配慮するエコを大切な価値観として捉えているため、このようなエコハウスを提案することで、不動産投資のリターンを上げることもできるでしょう。
7番目は「アウトドアリビング」を提案します。コロナ禍で、アウトドアリビングは定着しつつあります。自粛期間中にマイホームで過ごす時間が増え、居心地の良さに気づいた方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。家の中だけでなく、外の空間を楽しむという贅沢を取り入れる考え方が、今後ますます主流になっていくと予想されます。
ニューヨークでは、プライベートアウトドアスペースは貴重な空間です。アメリカ人はソーシャライズ・イベントを好むので、「アフターコロナのパーティーはアウトドアで」というコンセプトの住宅は訴求するでしょう。日本の「禅ガーデン」のアイデアなどは、デザインにプレミアムを払うニューヨーカーには価値のあるスペースとなり得ます。このような付加価値を付けることで、高い家賃設定が可能です。
8番目におすすめするのは、「ウィークエンドゲッタウェイ不動産投資」です。これは、週末に市内を離れ、郊外の自然の中、バケーションハウスでゆっくり過ごすというコンセプトです。今、アメリカだけでなく日本でも、バケーションレンタルやグランピング(グラマラス・キャンピング)は流行っています。
写真にあるのは、近場のガバナーズアイランドにあるキャンプ場ですが、一泊$1,000ほどの料金設定で貸し出されています。
このトレンドを活かして、ニューヨークの水辺の土地を買い、キャビンを作って貸し出せば、オペレーション次第では、1年以内に投資した資金を回収することもできます。このように、ミニマリスティックな住まい方の提案をして、高いリターンを狙うこともできるでしょう。
最後の9番目のストラテジーとして、「フレキシブルリースのアイデア」をご提案します。コロナを機に、ミレニアム世代の間に、一つの拠点に縛られずに、トラベルしながらリモートの仕事を選択するという働き方が今まさにトレンドとなっています。
好きなところに、好きな期間滞在できるアパートを提供するフレキシブルリース会社では、こういった若い層をターゲットに、備え付けの家具や、シェアできるアメニティスペースを充実させ、オプションで滞在期間 (数日から長期まで) を選べるような物件を貸し出しています。
中には、リース中に住まない期間があれば、貸し出してくれるというリース会社もあります。これも新しいビジネスモデルと言えます。
ここまで、アフターコロナを見据えた不動産投資戦略として、9つのストラテジーをご紹介しました。ニューヨークで不動産投資を検討されている方は、ここで取り上げた最新の不動産投資戦略をぜひ参考になさってください。その時のトレンドに乗ることによって、従来受け取っていたリターンよりも、はるかに高いリターンが狙えます。
コロナは、不動産市場にも大きな変化を与えるきっかけとなりました。都市にはミレニアム世代が増え、この若い層が今後のニューヨークの経済を牽引していく役割を担うことでしょう。
コロナ禍で、全米では不動産価格が約10%上昇したのに対し、ニューヨークでは下がりました。投資家から見れば、今は買いのチャンスと言えます。不動産投資家たちも少しずつニューヨークに戻りつつあります。アフターコロナ時代のニューヨークの不動産は今後ますます盛り上がりを見せることでしょう。
ニューヨークの不動産投資を検討されている方は、ぜひとも、ブルーパシフィックキャピタルにご相談ください。